Windows 7 から 10 になって変わるアプリケーション の5つのポイント

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Windows 10 では、アプリ開発者は、IoTデバイス、スマートフォン、タブレット、PCなど様々なデバイスに対応したアプリを開発できます。開発したアプリは、Windows ストアを通じて、それらの様々なデバイスに配布することが出来るようになるなど、配布モデルも大きく進化しています。ここでは、Windows 7 のアプリ開発者が Windows 10 のアプリ開発を行うにあたって、理解しておくべき、5つのポイントを紹介します。

 

Point1:「アプリの配布:Windows ストア経由で安全に簡単に配布可能!」

Windows 10 のアプリで、最も変わったところは何でしょうか?

Windows 7 では、開発したアプリは、CDやDVDなどのメディアやネットワーク経由のダウンロード提供などで、エンドユーザーに配布しました。Windows 10 では、Windows 7と同じ配布方法だけでなく、各種スマートフォンで利用されているオンラインアプリストアと同様に、Windows ストア というオンラインアプリストアを通じて、配布することができます。WindowsStore

Windows ストア

開発者は、Windowsストアを通じて、全世界のWindowsユーザーに対してアプリを配布することが出来ます。また、アプリのアップデートも、Windows ストアを通じて、簡単に提供できます。Windows 10 のアプリはPCだけでなく、スマートフォンでも今後はXboxでも使えるようになるので、開発者は、この1つのWindows ストアを通じて、すべてのWindows デバイスファミリー(Windows アプリが動作する様々なデバイス)に対して、アプリを配布することができます。

 

Point2:「デバイス対応:IoTデバイスからスマフォ,PC,HoloLensまで」

Windows 10 のアプリはどんなデバイス上で動きますか?

Windows 7 では、アプリの開発対象デバイスは、ほぼPCデバイス(デスクトップ、ノート)に限られていました。しかし、最近ではPC以外にも様々なデバイスが存在し、アプリ開発者は、それらのデバイス上で動作するアプリの開発が求められています。

Windows 10では、アプリ開発者は、スマートフォンからタブレット・PCに加えて、Rasberry PiなどのIoTやゲームコンソールであるXbox One、さらに新しいデバイスとして出てくるSurface HubやHoloLensなどの新しいWindows デバイスファミリーまで、様々なWindows 10デバイスに対して、アプリを開発することができます。

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Windows 10デバイスファミリー

 

Windows 10 のアプリは、ユニバーサルWindows プラットフォームアプリ(以下、UWA)と呼ばれ、1つのアプリを開発し、公開すると、すべてのWindows 10 デバイスファミリー(スマートフォンから、タブレット・PC、Xbox Oneなど)で動作します。

1つのアプリを開発することで、様々なデバイスに対応できる。Windows 10は、アプリの開発者の対象デバイスを広げてくれるOSです。

 

Point3:「アプリの管理:アプリの課金や更新の管理は、ポータル経由で!」

Windows 10 のアプリはどのように販売しますか?

Windows 10 のアプリ開発者は、Windows デベロッパーセンター(https://dev.windows.com/ja-jp/)というポータルのダッシュボードを通じて、アプリのリリース、バージョンアップ、宣伝などを行うことが可能です。

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Windows デベロッパーセンターのダッシュボード

 

開発者は、初めに開発者アカウント(個人のアカウントと会社のアカウントの2種類あります)を作成する必要があります。その後、Windows デベロッパーセンターのダッシュボードを通じて、Windowsストアにアプリを公開・販売することが出来ます。Windowsストアを通じて販売した販売額のうち70%を収益として受け取ります。

Windows アプリから収益を上げるには主に

  • アプリ本体を有償アプリとしてリリースする
  • アプリに広告を付加する
  • アプリ内製品(アプリのアイテム)に対して課金する

といった方法がありました。Windows 10では、さらに、

  • アプリ内でのサブスクリプション購入
  • アフェリエイト

に対応しました。Windows デベロッパーセンターのダッシュボードでは、リリースしたアプリのダウンロード状況、安定性、ユーザーからの評価など、アプリに関する様々な解析情報も取得することができます。

Windows 10 のアプリ開発を目指す開発者の皆様は、まず、開発者アカウントのサインアップからスタートしましょう!

 

Point4:「アプリの表示:デバイスファミリーごとに最適化」

いろいろなデバイスで動くということは、画面サイズに対応することが大変になりませんか?

Windows 10 のアプリは、様々なデバイスファミリーの異なる画面サイズや入力モデルに合わせて、最適なUIを提供する仕組みがあります。deviceUI

スマートフォン、PCなど、それぞれのデバイスにアダプティブな表示やUXを提供

Windows 10 のアプリは、スマートフォン、タブレット・PC、デスクトップなど様々なデバイスで動きます。それぞれのデバイスは、画面サイズも様々ですし、操作方法もタッチやマウスなど違っています。開発者が、それらの違いそれぞれに対応すると手間がかかりますが、Windows 10は、OSが、デバイスの画面サイズに合わせて、アプリの表示を自動調整してくれますし、タッチやマウスに合わせた操作方法も自動調整してくれます。さらに、縦長や横長に合わせてレイアウトできるパネルもありますので、開発者は、様々なデバイスに対応したアプリを簡単に開発することができます。 アプリ開発者の皆様、様々なデバイスに対応するWindows 10のアプリ開発に、ぜひチャレンジしましょう!

 

Point5:「アプリの連携:新しいデバイスでもアプリ情報を共有」

アプリが異なるデバイスで動作するとどんなメリットがありますか?

最近は、通勤や通学などの移動中は、スマートフォンを利用し、会社や学校では、PCを利用し、自宅では、タブレットを利用するなど、ユーザーが複数のデバイスを利用することは当たり前になっています。

ユーザーが移動中に、例えば、スマートフォンのブックリーダーアプリで本を読んでいるとします。スマートフォンから、PCやタブレットにデバイスが変わっても、同じブックリーダーアプリを起動すれば、それまでスマートフォンで読んでいた同じ本の同じページから読書を続けることができると、ユーザーにとって大変便利です。アプリ開発者は、ローミング機能を使って、このようなアプリを開発することができます。

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デバイス間でデータを共有できるローミング

OSの基本設定(テーマや言語など)やアプリの様々な情報(アプリを最後に使用した状態など)をクラウドに保存して、複数のデバイスをまたいで利用することをローミングといいます。Windows 10 では、ローミング機能は、Microsoftアカウントに関連付けられています。

ユーザーが、複数のデバイスを利用する場合も、同じMicrosoftアカウントでログインすると、デバイスをまたいで、OSの基本設定やアプリの情報を利用することができます。 例えば、新しいデバイスを購入した場合でも、同じMicrosoft アカウントでログインすれば、それまで使用していたデバイスと同じOSの設定やアプリを、すぐに利用することができます。

 

まとめ:今すぐWindows 10 アプリの開発を始めましょう!

一つのアプリを開発することによって、あらゆるデバイスに対応することができる。開発者が長年夢見てきたことが、Windows 10によって実現しようとしています。Windows 10は、開発者にとって、ワクワクする、期待が高まるアプリケーションプラットフォームです。今すぐ、Windowsデベロッパーセンターから開発者アカウントのサインアップを行い、Windows 10 アプリの開発を始めましょう!

 

参考情報

Windows デベロッパーセンター 
Microsoft Virtual Academy 「A Developer’s Guide to Windows 10」
Channel 9「開発者のためのWindows 10 アプリプラットフォーム」
Channel 9「Windows 10 アプリ デザイン ~そのコンセプトとUI/UXデザイン~」
Channel 9「Windows 10 アプリ開発解説 Part 1~基礎編~」

 

執筆

hiwatan2

日本マイクロソフト株式会社 デベロッパーエバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリスト

渡辺弘之