Visual Studio 2015 CTP 6 および Team Foundation Server 2015 CTP をリリース
本記事は、マイクロソフト本社の The Visual Studio Blog の記事を抄訳したものです。 【元記事】 Visual Studio 2015 CTP 6 and Team Foundation Server 2015 CTP Released 2015/02/23 6:05 PM |
マイクロソフトでは短いサイクルで更新版をリリースするよう努めており、今回もその流れに沿って Visual Studio 2015 CTP 6 (英語)、さらに Team Foundation Server 2015 CTP (英語) をリリースしました。これらの製品はいずれもダウンロード センター (英語) と MSDN サブスクライバー ダウンロードのページからもダウンロードできます。少しでも早く利用したいというユーザーの方は、Azure でホストされている仮想マシン (英語) で最新の CTP を使用できますので、こちらをご活用ください。この記事では、ご利用を検討中の方に向けて両製品の注目点をいくつか説明します。本稿以外にも Brian Harry が執筆したブログ記事 (英語)、Team Foundation Server 2015 CTP リリース ノート (英語)、Visual Studio 2015 CTP 6 リリース ノート (英語) にも詳細情報が掲載されていますので、併せてお読みください。
Visual Studio 2015 CTP 6
最初に、皆様にお伝えしなければならないことがあります。CTP 5 のリリース以降、製品内のフィードバック機能からの問題点や改善点のご報告が大幅に増えたほか、複数の主要なお客様からもフィードバックが寄せられました。そこで見えてきたのが、CTP 5 には深刻な問題が存在していたということです。たとえば、PDB ファイルのロックの問題では多数のお客様に影響が及んでしまいました。
CTP の各バージョンでは早期に新機能を公開することで、その機能が有効に機能するかどうかをお客様に評価していただいています。リリースに際してすべての要素 (提供の迅速性、品質、チームの能力など) のバランスを取ることは、開発を進めるうえでの推進力につながります。開発チームでは CTP が「使用に耐えうる」と考えられる品質で提供していますが、お客様のご意見を見ると、CTP 5 はこの品質に達していなかったと思われます。
CTP 5 をご利用のうえご意見をお寄せくださった皆様には、この場をお借りして改めて感謝の意をお伝えしたいと思います。CTP 6 においては、ご報告いただいた問題をほぼすべて解決し、安定性を向上させました。
また、今回のリリースでは多数の新機能も追加しました (詳細については Visual Studio 2015 CTP 6 リリース ノート (英語) をご覧ください)。その中のいくつかをここでご紹介したいと思います。
シングル サインオン: お客様から頻繁にいただいていたご意見の 1 つに、開発者 (特に Azure、Windows ストア、MSDN サブスクリプション、Visual Studio Online などのマイクロソフト サービスを複数使用している場合) がそれぞれのツールやサービスを利用する際に何度もログインする必要があって面倒だ、というものがありました。マイクロソフトはこの問題の解決に取り組んでいますが、CTP 6 で 1 つ前進することができました。これまでは、クラウドをバックエンドとするデータ ストア、ソース コードの登録、オンライン ストア発行ダッシュボードなど、アプリケーション開発時に使用しているサービスのそれぞれに個別にログインする必要がありました。また、これらのサービスでは個別にログインが必要なだけでなく、ユーザーのログイン状態も個別に管理されていました。CTP 6 では、いったんいずれかのクラウド サービスにログインすると他のサービスへのログインも自動的に有効になるため、認証画面での入力が必要となる回数が大幅に減少します。
ASP.NET の改良: マイクロソフトでは ASP.NET 5 (英語) の改良に継続的に取り組んでいます。今回のリリースでは ASP.NET ランタイムのパフォーマンス向上、[New Web Project] ダイアログの見つけやすさの改善、JSON の構成ファイル向けの IntelliSense の更新、および Bower、NPM、NuGet のパッケージ復元機能の更新が実施されました。これらの更新の詳細については、ASP.NET の更新に関する詳細なブログ記事 (英語) を参照してください。
Xamarin の統合の強化: CTP 6 では、Visual Studio を使用している Xamarin 開発者の方が、Visual C++ で導入された Android 用のエクスペリエンスを使用して Android プロジェクトから直接 C++ ライブラリの参照、ビルド、デバッグを行えるようになりました。Xamarin Android ネイティブ アプリの開発方法については VC++ のブログ (英語) で取り上げていますので、そちらもご覧ください。また、Visual Studio のインストール中に Xamarin をサードパーティの依存関係リストから選択すると、Xamarin を直接インストールできるようになりました。
Visual Studio Tools for Apache Cordova の導入 : 各種デバイスのデバッグに対応してほしいという声にお応えして、過去数回のリリースで Android 4.4 や Android 4.3、さらに古いものでは jsHybugger、iOS 6/7/8、Windows ストア 8.1 などに対応を拡大してきました。CTP 6 ではこの範囲をさらに広げ、Windows Phone 8.1 用の Apache Cordova アプリのデバッグにも対応しました。
この機能を使用すると、Windows Phone 8.1 のエミュレーターや接続されたデバイスでブレークポイントの設定、変数の値の確認、コンソールの使用などのデバッグ操作を行うことができます。詳細については Visual Studio Tools for Apache Cordova のページをご覧ください。
CodeLens 機能: CodeLens を使用すると、エディターでの作業を中断せずにコードの詳細を確認できます。CTP 6 では、Git リポジトリでバージョン管理されている C++、SQL、および JavaScript のファイルの履歴を、CodeLens のファイル レベルのインジケーターで確認することができます。CodeLens のファイル レベルの作業項目インジケーターでは、Git のソース管理と TFS の作業項目を使用して作業を行っているときに、C++、SQL、および JavaScript のファイルに関連する作業項目の情報を取得できます。
アーキテクチャ ツールの改良: これまでの Code Maps では、応答性がよくない、使用方法が複雑な場合がある、有効な結果が得られないことがある、などのご意見をいただいていました。このため、今回のリリースではツールの応答性の向上、[Architecture] メニューの簡略化、ノード フィルタリング実行時の煩雑さの解消 (VS 2015 Preview でのフィルタリングと同様の変更) を実施しました。また、ソリューションのフォルダーに基づいてノードがグループ化され、同時にプロジェクトノードやアセンブリ ノードの種類がわかるようにスタイルを分けて表示されるようになったため、ソリューションの初期マップが格段に便利になりました。CTP 6 での Code Maps の改良点についてはこちらのブログ記事 (英語) ですべて説明されていますので、ぜひお読みください。
NuGet の更新: 今回のリリースでは NuGet のインターフェイスが大幅に変更され、パッケージを検索する方法がわかりやすくなりました。また、このインターフェイスでは、既にインストールされているパッケージの更新やバージョン管理も簡単になりました。さらに、新しい v3 API が実装され、高速な検索機能が使用できるようになりました。NuGet の拡張機能は [Extensions and Updates] メニューから取得できます。ぜひ今回の更新版をお試しください。詳細については blog.nuget.org (英語) でご確認いただけます。
XAML の UI デバッグ機能: Visual Studio のいくつかのリリースには HTML アプリ用の DOM インスペクターが搭載されています。このツールでは UI をすばやく見つけて微調整することが可能なため、XAML への対応を望む声を多数いただいていました。今回、XAML 用の新しい UI デバッグ ツールである Live Visual Tree と Live Property Explorer が導入され、WPF プロジェクトでも使用できるようになりました。これらのツールでは、デバッグ セッション中にアプリケーションのビジュアルツリーを検査することができます。また、ツリー内の要素の DependencyProperty オブジェクトの参照や変更も可能です。詳細については、XAML 用の新しい UI デバッグ ツールに関するブログ記事をお読みください。
上記の UI デバッグ ツールは、WPF デスクトップ アプリケーションのデバッグを開始したときに表示されます。現時点では Windows ストア アプリはサポート対象外ですが、今後近いうちにサポートする予定です。
.NET のデバッグ機能: CTP 6 では .NET のデバッグ機能がいくつか強化されています。まず、多数の内部的な例外を返すサードパーティのライブラリを呼び出すような .NET アプリケーションのデバッグが、これまでよりも大幅に高速化されました。詳細については、Visual Studio 2015 で .NET コードのデバッグを行う際のパフォーマンスの向上に関するブログ記事 (英語) をお読みください。また、エディット コンティニュ機能が強化され、2005 以降の言語機能の追加や変更 (反復子や async/await など)、入れ子にされた型やトップレベルの型の追加 (委任、列挙、インターフェイスなど) などの新しい編集操作がサポートされるようになりました。詳細については、エディットコンティニュ機能に関する C# ブログ記事 (英語) および VB ブログ記事 (英語) を参照してください。
以前のバージョンの Visual Studio に存在した Make Object ID コマンドが Visual Studio 2015 CTP 6 で再度導入されました。Object ID とは、オブジェクトのインスタンスにタグ付けして追跡するためのものです。該当するインスタンスの参照範囲に変数が存在しないコンテキストに切り替えた後でもデバッグセッションが継続している間は追跡することができます。この機能により、特定のオブジェクトが有効である間、その状態の変化を観察することができます。これにより、おなじみの $id 構文を他のデバッグ変数と同時に使用して、[Watch] ウィンドウや [Immediate] ウィンドウ、および条件付きブレークポイントでオブジェクトを参照できます。
最後に、新しい [Exception Settings] ウィンドウでデバッガーの例外設定を簡単に構成できるようになりました。このウィンドウを開くには、[Debug]、[Windows]、[Exception Settings]、[Debug] の順にクリックします。詳細については、[Exception Settings] ウィンドウの使用方法に関するブログ記事 (英語) をお読みください。
Visual Studio Emulator for Android の更新: Visual Studio Emulator for Android が更新され、Lollipop (API Level 21) のデバッグに対応するなどの新機能が導入されました。また、OpenGL ES のサポート、マルチタッチ入力のシミュレーション、および高度なカメラ機能のシミュレーションの各機能が追加されました。詳細については、Visual Studio Emulator for Android の新機能に関するブログ記事 (英語) をご覧ください。
Team Foundation Server 2015 CTP
今回は TFS 2015 CTP (英語) も同時にリリースされましたが、ライセンスにかかわる変更や TFS エディションで使用可能な機能については、すぐにはわかりづらいかもしれません。具体的に挙げると、5 ユーザー以下のライセンスである “Basic” に、Web ベース テストの実行、アジャイル ポートフォリオ管理、作業項目のグラフ作成、チーム ルームなどの機能が追加されました。
もちろん、リポジトリをマージするときのパフォーマンスの向上 (特に大規模な場合) など、変化がわかりやすい機能強化も実施されています。また、ソリューション エクスプローラーで任意のフォルダーを右クリックするだけで、ファイルの変更履歴を簡単に確認できるようになりました。このほかに、JSON REST API が追加され、作業項目を作成、照会したり、ビルドをキューで待機させたり、Windows や Android、iOS、Node.js などの各種デバイス、プラットフォーム、テクノロジスタックからソース コードにアクセスしたりする操作が簡単になりました。さらに、サービス フックを利用して、Team Foundation Server からユーザーのアプリやサービスに直接イベントの通知をすばやく送信できるようになりました。
Team Foundation Server の機能強化の詳細については、この記事で説明したものもそれ以外も含めて、Brian Harry が執筆したブログ記事 (英語) および Team Foundation Server 2015 CTP リリース ノート (英語) を参照してください。
いつものお願いではありますが、皆様からのフィードバックをお待ちしております。ご意見、ご感想、ご提案は、製品内の [Send-a-Smile] や [Send-a-Frown] (英語) から UserVoice サイト (英語) までお寄せください。また、Visual Studio Connect サイト (英語) にバグをファイル形式でご提出いただくこともできます。
今後とも Visual Studio をよろしくお願いいたします。
John Montgomery
John Montgomery (Visual Studio プラットフォーム、プログラムマネジメント ディレクター) John Montgomery はマイクロソフトに 15 年前に入社以降、開発者向けテクノロジの開発に従事し続けています。Visual Studio コア開発環境を担当する前は、Windows 8 開発用ツールを担当していました。 Twitter: @johnmont |